研究課題/領域番号 |
26500007
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
佐々木 雅也 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (40242979)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 肺がん / 消化器がん / エネルギー代謝 / 間接熱量測定 / 炎症性サイトカイン / 安静時エネルギー消費量 |
研究実績の概要 |
肺がん患者28名(男性22名、女性6名、年齢68±10歳)について、身体計測、血液生化学検査、エネルギー代謝、血中炎症性サイトカイン(IL-6、TNF-α)、レプチン、グレリンレベルを測定した。安静時エネルギー消費量(REE)、呼吸商(RQ)はミナト医科学エアロモニターAE300Sを用いて測定し、健常人19名(男性9名、女性10名、年齢65±9歳)とも比較検討した。その結果、肺がんの病期が進行するにつれてREE/基礎エネルギー消費量(BEE)は亢進する傾向にあった。IL-6とREE/BEEの間には正の相関を、喫食量との間には負の相関を認めた。一方、TNF-αとREE/BEE、喫食量の間には関連はみられなかった。BMI、体脂肪率が低いほどレプチン値は有意に低く、活性グレリン値は有意に高かったが、喫食量との関連はみられなかった。IL-6と喫食量が負の相関を示したことから、IL-6がレプチン様作用として喫食量を低下させた可能性が示唆された。 一方、消化器がん33例(食道がん9例、胃がん11例、膵臓がん7例、大腸がん6例)についてもREEの測定を行ない、同時にTNF-α、IL-6、レプチン、グレリン濃度を測定した。不応性悪液質患者3例を除外した30例を病期別に群分けして解析した。その結果、消化器がん患者は、病期の進行に伴い低栄養状態の割合が増加した。また、病期が進行するにつれてREE / BWが亢進した。血中TNF-α濃度は、病期の進行に伴って増加する傾向がみられた。血中IL-6濃度は、StageI+II期、III期と比較してIV期で有意に高値を示し、血中の炎症性サイトカインの増加に伴いREEが亢進するとの結果が得られた。血中レプチン・グレリン濃度とREEとの間に関連はみられなかった。Stageが進むにつれてエネルギー代謝が亢進し、これにはIL-6、TNF-αの関与が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
肺がん患者については、すでに目標症例数に達し、解析した結果は英文誌 J Clin Biochem Nutrに投稿し、掲載可となっている。 消化器がん症例の検討については、目標症例数の70%程度であるが、一定の傾向は得られており、3年目には測定と解析を終える計画である。
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今後の研究の推進方策 |
肺がん症例を対象とした研究については、3年目に論文掲載の予定である。 消化器がん症例についても、すでに日本臨床栄養学会に抄録を応募したところであり、解析も開始している。
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