研究課題/領域番号 |
26510012
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
金川 幸司 静岡県立大学, 経営情報学部, 教授 (00341470)
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研究分担者 |
東郷 寛 近畿大学, 経営学部, 准教授 (10469249)
後 房雄 名古屋大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (20151855)
岡本 仁宏 関西学院大学, 法学部, 教授 (20169155)
吉田 忠彦 近畿大学, 経営学部, 教授 (20210700)
日詰 一幸 静岡大学, 人文社会科学部, 教授 (30241152)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ガバナンス / 自助グループ / 社会的企業 / コミュニティ |
研究実績の概要 |
インド洋大津波の被災地であるインドネシアバンダアチェ及びその周辺地域の集落について、住民からのアンケート調査を実施し、分析を行った。また、同津波の被災地であるインドタミルナデュ州の被災集落の住民アンケートの分析を行い、学会で発表を行った。さらに、東日本大震災の被災地に関しては、特に宮城県南三陸町を中心に、復興に際して、新しく作られた住民組織に焦点を当てて、聞き取り調査による分析を行った。 アチェにおいては、生活復興、住宅復興に焦点を当て、海外からのNGOによる支援がどのような調整の元で行われたのかに関して、4つの集落を事例に、地域のガバナンス、復興における住民の満足度等に関して、分析した。その結果、地方政府の下位のレベルであるガンポンにおいて復興ガバナンスが中心的に機能していることが確認できた。さらに、海外NGOも生活復興に関して、マイクロクレジットなどによる起業支援、女性の自助グループへの支援などを行い、生計の収入源が多様化していることが確認出来た。また、住宅再建に関しては、NGOと地方政府との調整が十分ではなく、需要と供給のミスマッチ、電気、水道、道路といったインフラとの整合性に課題が発生していることがわかった。 インドにおいては、生活復興と女性の自助グループの関係に焦点を当て、グループが形成された地域とそうでない地域を比較する中で、自助グループの有効性を確認した。 東北においては、平成の合併による影響、自治体の活動を補完する形で新しい組織が形成されてきていること、さらに、社会的企業等の組織が立ち上がり、新たな事業を展開しつつあることが確認出来た。 以上、東北、インド、インドネシア共に、震災の復興過程の類似性、震災を契機とした新たなグループの台頭など、従来は周縁的な存在であったアクターが外部からの人的、資金的支援を受けながら、一定程度台頭していることが確認出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた東日本大震災、インド洋大津波からの復興過程における周縁的インサイダーの発生とその実情についての確認を行うことができた。また、インド、インドネシアに関しては、前者は現地でのヒアリングに加えて、住民へアンケート調査を完了し、その分析をおおむね終了することができた。また、その結果に関しては、一部学会での報告した。前者においては、全インド災害復興研究所(AIDMI)と、後者に関してはインドネシア大学、シアクラ大学との連携の元、調査を行うことができた。 東日本大震災に関しては、被災地域が広大であることから、地域住民が中心となって内発的な復興の動きが見られる地域の一つとして南三陸町に焦点を当て、地域の主要団体と連携しながら調査を進めた。今後は、仮設住宅等での集会に参集している住民を中心にアンケート調査を行い、インドネシア、インドとの比較を行う予定である。この場合、宗教、行政システム、法制度などの違いを十分に踏まえた上で、本研究の当初の目標である周縁的インサイダーの発生とその影響力形成メカニズムに関して、十分な分析を行うこととする。
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今後の研究の推進方策 |
南三陸町において、現地の機関との協力の下、住民アンケートの実施、聞き取り調査での確認を行う予定である。また、3カ国の比較に関しては、今年度の学会での発表を予定している。そこでのコメントも踏まえ、必要に応じてインドネシアにおける追加調査も行いながら、3カ国の比較を行い、その結果は、最終的には国際学会での発表を行うことを予定している。 大規模な震災によって被害を受けた地域がその復興過程において、地域内の新たなアクターが復興にどのように寄与するのか、さらには、それらのアクターがどのようにメカニズムで発生し、影響力を行使していくのかに関して、国による法制度、宗教などの違いを勘案しながら、地域ガバナンスとコミュニティエンパワメントの視点からから総括を行っていくこととする。
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次年度使用額が生じた理由 |
東北地方でのアンケート調査とその分析が未実施であり、1年繰り下げて28年度に実施することになったこと。さらに、インドネシアでの追加調査が必要になる中で、再度現地調査の必要性が発生したため。
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次年度使用額の使用計画 |
宮城県南三陸町住民アンケート調査とその分析 インドネシアバンダアチェ追加調査
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