研究課題/領域番号 |
26511005
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高田 大輔 東京大学, 農学生命科学研究科, 助教 (80456178)
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研究分担者 |
安永 円理子 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (00380543)
小林 奈通子 東京大学, 農学生命科学研究科, 助教 (60708345)
田野井 慶太朗 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (90361576)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 137セシウム / 福島第一原発事故 / 133セシウム / モモ / 果樹 / ブルーベリー |
研究実績の概要 |
ブルーベリー個体を用いて、萌芽前の3月には地上部と地下部に対して、萌芽後の4月には地上部に対してCs-133水溶液20 ppmを100 ml処理した。1ポット中のCs-133総量をベースとした部位別のCs-133含量比をみると、果実におけるC-133s含量比は3月地下部処理で0.6%、3月地上部処理で5.7%と地上部から果実への移行の影響が大きかった。4月地上部処理の果実のCs-133含量比は10.4%と、さらに大きかった。新生部位からの吸収量が増えたために果実への含量比が変化したと考えられる。果実のCs-133移行には葉や新梢からの影響が最も大きく関与し、次いで旧枝、根であると考えられた。果実のCs-133濃度を葉のCs-133濃度で除した相対割合を求めると、3月地下部処理で0.59、3月地上部処理で1.93であった。すなわち経根吸収されたCs-133は葉へ優先して移行し、旧枝から吸収されたCs-133は果実へ優先して移行していた。このことから吸収された部位によって樹体内でのCsの移行経路が異なることが示唆された。一方で、地上部処理の根におけるCs-133含量は、3月地上部処理では7.6 μg、4月地上部処理では13.0μgとコントロールの1.2μgを大幅に上回り、地上部で吸収されたCsは果実だけでなく根にも移行していた。コントロールにおける樹体内のCs-133濃度は根で最も高かったが、K濃度は根と旧枝で低く、前年と同様な結果を得た。ブルーベリーにおいてもCsとKは樹体内で異なる移行挙動を示すことが考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
樹種をブルーベリーに変更して行った試験において、地上部に処理した133Csが地下部に処理した場合と異なる挙動を示した。また、カリウムとセシウムの挙動が異なることを示すことができた。このような結果から、2016年度において、133Csと137Csの濃度や処理部位の違いについて、比較することが可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
137Csを地上部に処理し、133Csを地下部に処理する区、逆に133Csを地上部に処理し、137Csを地下部に処理する区を設け、両処理区間でのCsの移行の違いを明らかにする。このことにより、Csの処理位置の違いにより、吸収量や移行過程が異なることをさらに明らかとする。このことにより、福島第一原発事故によって降下したCsが樹体の地上部の内、枝に多く存在している現状では、チェルノブイリのような葉に多く降下した条件とは、果実への移行に関して、異なる事を明らかとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
ブルーベリーでの試験に主体を移したため、個体管理に関わる消耗品や人件費が抑えられたため。
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次年度使用額の使用計画 |
本成果の一部を使用して、アジア園芸学会(9月、中国成都)で発表を行う予定であり、その旅費の一部とする。 モモに関する試験の一部を本年度に行うため、その個体管理費に使用する。
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