浜通り地方の3地区に合計13の試験水田を設け,田面水,土壌,イネに含まれるCsの水田内空間分布を把握し,水口側のイネの放射性セシウムの移行係数が高くなる現象の発生機構を観測および数値モデルによって検証した.研究の結果,水口近傍において特異的にイネの放射性セシウム濃度が高くなる理由として,溶存態の放射性セシウムではなく,生物学的利用能の比較的高い懸濁態の画分の蓄積よって発生することが示唆された.このことから,水口近傍におけるイネ密植によってCsの吸収をこの範囲にとどめる対策を提案し,試験を行ったものの,効果は確認できなかった.
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