2014年から2016年において,宮城県津波被災農地の除塩過程を調査した.主な観測項目として,土中の水分量および土壌塩分濃度の指標となる電気伝導度を計測した.圃場の観測システムは,比較的安定して稼働し,リアルタイムにおける除塩過程の把握に大きな役割を果たした. 人工的な湛水除塩に加えて,自然降雨による除塩によって,水田栽培では問題のない程度まで土壌中の塩分は減少した.一方で,水田から転換畑(大豆栽培など)に切り替えた場合に,沿岸部からの塩水侵入により,局所的に塩害が発生するなどの問題が発生した.今後は,沿岸部からの塩水の侵入を防止するための潮受け水路が建設されるため,その評価が重要となる.
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