研究課題
基盤研究(C)
本研究では、公共部門の効率化を目的に市場化された介護保険サービス市場において、目的の異なる営利・非営利の経営主体(利益の最大化vs.使命の最大化)が、同じサービスの質また同じ内容で公共サービスを提供しているか否かを検証した。グループホーム事業を対象に事業所の運営データを用いて分析した結果、非営利事業者の方が、介護労働者の質の点に関しては質の高いサービスを提供していることを明らかにした。また営利事業者の方がクリームスキミングを行っており公正性の点で課題が生じている可能性を明らかにした。
公共経済
準市場における営利・非営利事業者の行動比較の研究は欧米では様々な集積があるが、日本の介護保険制度を対象にした研究は多くない。本研究は、その嚆矢として、国内の介護保険事業所(グループホーム)の経営データを用いた実証分析を行った点で意義があると考える。介護保険制度に関しては、様々な課題が指摘されているが、市場化に内在する事業者の行動を分析し、公共サービスの市場化に伴う課題の一端を明らかにした点でも意義があると考える。