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2014 年度 実施状況報告書

親しみの感情を構成する情動が造形物に対する感情移入を形成する脳機能システムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 26540139
研究機関筑波大学

研究代表者

首藤 文洋  筑波大学, 医学医療系, 講師 (10326837)

研究分担者 山中 敏正  筑波大学, 芸術系, 教授 (00261793)
内山 俊朗  筑波大学, 芸術系, 准教授 (50334058)
増田 知之  筑波大学, 医学医療系, 准教授 (70372828)
山田 博之  筑波大学, 芸術系, 助教 (80723361)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード感性脳機能 / 感性情報学 / 神経科学 / 生体計測 / モデル動物 / 視覚芸術 / プロダクトデザイン / 萌え
研究実績の概要

申請額に対し配分額が約55%であることを受け、本研究計画を有効に推進するための研究内容の規模縮小とそれに伴う実験計画の見直しを経て本年度の研究を遂行した。被験者実験に関しては感情移入実験の対象となる造形物の調達を見直して、本年度は感情移入実験に最適な提示刺激の基礎的開発とその反応に対する予備実験を重点的に行った。具体的にはこれまでの研究で我々が進めていたプロダクトデザイン理論を視覚提示物の作成過程からより効果が高く被験者実験で有効なデータを得やすいオリジナル刺激の開発を念頭として見直し、内外の研究者との検討による情報収集で得られた知見と併せて実験準備を進めた。また、刺激提示による被験者の神経活動の有効な計測システムの開発を進め、現有の装置を使った実験での不確実性とそれを補完するための方策を検討した。モデル動物実験システムの開発では、これまでの研究から得られたマウスでの後天的経験に基づく情動に関する生体反応の変化を計測するモデルを発展させる形でいくつかの新規システムを導入して検討を進めた。感情移入は後天的経験による現象でありこの実験システムは本研究の一つの核心を成す。具体的にはこれまでの生体反応計測が動物を拘束した状態でしか計測できないことから、非拘束下での実験が不可欠と判断しテレメータシステムや有線心電記録による自由行動条件下での生体反応計測とその記録方式の無線化について、実験対象をマウスおよびラットに拡大して実験を行った。結果、ラットにおけるテレメトリーシステムから有効な生体反応を得ることが可能であることが分かり、非拘束下で心電記録システムを有効に作動させるための問題点とその解決方策が明らかとなった。また、脳内への試薬投与により経験に基づく情動反応をコントロールできることが明らかとなり、これに関する神経メカニズム解明に繋がる一つの実験計画が達成された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初の研究計画では本年度にまず、感覚刺激として、素材の質感と伝統的に統一された形態以外に彩色や表情などの表現特徴を持たない岩手県の伝統的工芸品である南部系木地キナキナこけしを使った実験として。被験者がオブジェクトを初見したときと、持ち帰った上で目につくところに置き1日1回あいさつをするタスクを1週間程度してもらった後に同一オブジェクトを見たときとの各計測データの違いを比較して「親しみ」の生理機能構造について検討する実験を計画していた。この造形物は提示刺激として最適であるが現有物の代替品が入手し難い。従って、実験に当たっては前項で示した現有の装置を使った実験での不確実性とそれを補完する方法についての予備実験の上で遂行するべきと判断し、神経活動の有効な計測システムの開発を優先して行ったため、本実験は次年度に行うこととなった。また、モデル動物実験システムの開発では、感情移入による神経活動の後天的評価にはリアルタイム計測が不可欠でありそのシステム開発を優性して行ったため、聴覚以外の感覚刺激を用いた実験モデルによる計測実験まで進行しなかった。

今後の研究の推進方策

本年度の予備実験の成果を踏まえて、未達成の実験として感覚刺激として南部系木地キナキナこけしを使った実験を行う。この実験では被験者がオブジェクトを初見したときと、持ち帰った上で所定のタスクを1週間程度してもらった後に同一オブジェクトを見たときとの各計測データの違いを比較して「親しみ」の生理機能構造について客観的指標の取得を行う。被験者がオブジェクトを鑑賞している間、 装着したプローブにより心拍数や自律神経の活動状態や脳活動を光トポグラフイ一装置、局所脳波で記録する。上記の実験が終了した後、オブジェクトにより惹起された気分や感情について被験者にスライダー操作で回答させ、そのスライダー位置情報と回答中の被験者の生理情報とを同時記録する「動的アンケートシステム」回答させ、生体反応を同時取得する。また、私的通信での使用率と商品展開が他の顔文字に比べて突出して高い(´・ω・`)と他の顔文字を比較し、記号・文字配列の違いがもたらす生体反応の相違点と親しみ感情との関連を調べる実験や、本年度に検証したデザイン理論に基づいて制作された造形物など、提示刺激を変更して同様の実験を行う。モデル動物対象実験では、後天的経験として提示する刺激を造形物や視覚刺激等に広げ、後天的環境刺激からの経験による情動反応のコントロール機能を感情移入現象のモデルと捉えてその脳機能システムの解明を進める。以上の推進方策のもと、本研究課題の目的を達成すべく研究を遂行する。

次年度使用額が生じた理由

山田分分担金の繰越について、当該分担者の担当が感情移入を誘導する提示システムの開発であったことから、前記の実験計画の見直しに伴う実験の遅れが生じ本年度は予備的研究が主になったため、配分されたの必要経費を次年度の研究費としてに繰り越すことになった。
山中分分担金の繰越について、当該分担者が統括する制作プロダクトおよび被験者実験の発表の一部を本年度中に行うことができなかったため、一部経費を次年度の研究費として繰り越すことになった。

次年度使用額の使用計画

山田分分担金の繰越について、提示システムの開発に必要となるデバイスおよび材料の購入と成果の発表経費としての使用を予定している。
山中分分担金の繰越について、主に研究成果の公表に関わる経費として使用することを予定している。

研究成果

(3件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Modulatory mechanism of autonomic system that induced by acquired auditory experience in mice and rats2015

    • 著者名/発表者名
      Shutoh F., Sugimoto K., Hisano S.
    • 雑誌名

      The Journal of Physiological Sciences

      巻: 65(suppl1) ページ: S291

  • [学会発表] 聴覚経験より形成される後天的自律反応のマウス・ラットを使ったモデル実験2015

    • 著者名/発表者名
      首藤文洋、杉本皓司、久野節二
    • 学会等名
      第92回日本生理学大会
    • 発表場所
      神戸国際会議場
    • 年月日
      2015-03-23
  • [学会発表] Modulatory mechanism of autonomic system that induced by acquired auditory experience in mice2014

    • 著者名/発表者名
      Shutoh F., Sugimoto K., Hisano S.
    • 学会等名
      第37回日本神経科学大会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      2014-09-12

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公開日: 2016-05-27  

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