研究課題/領域番号 |
26550115
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
市川 光雄 京都大学, アフリカ地域研究資料センター, 名誉教授 (50115789)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 国際研究者交流 / カメルーン / 文化人類学 / 生態人類学 / 森林保全 / 非木材森林産物 |
研究実績の概要 |
森林資源の持続的利用システムを構築する鍵となるのは、いかにして森林の資源や土地をめぐる住民相互の関係を調整し、資源の荒廃をもたらす利用者間の過度な競合状態を回避するかという問題である。この課題に対して平成26年度は、まず住民自身による森林の土地及び資源利用の実態に関するデータを収集した。調査地は、森林保護と住民生活の両立が急務となっているカメルーン共和国南東部のブンバ=ンゴコ国立公園北側に位置する熱帯雨林地域とした。 1. 連携研究者及び地域住民と協力し、GPS等を用いて耕地や主要な非木材森林産物の分布状態の把握に努め、これらを地図化するための資料を得た。 2. 資源利用の分布の参加型マッピングに関しては、住民にGPSを携行してもらい、農耕や非木材森林産物採取等の日常的活動を実施する空間とその使い分けの状況を把握し、地図化する試みをおこなった。この作業を通して、ある程度住民にGPSの使用法を習得してもらうことができた。 3. 調査地で森林資源管理の主体として期待される住民は、狩猟採集民族、焼畑農耕民族に大別され、各々の民族はさらに出自や婚姻関係に基づいてさまざまな構成・規模の住民組織や社会単位を形成している。これらの組織や社会単位の規模と構成を明らかにし、それらが生業の運営、土地や森林資源をめぐる社会関係において果たしている役割を把握した。 4. 以上に関する成果を国内外で催された学会及びワークショップにおいて発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の課題であった住民組織の概要の把握、及び非木材森林資源の分布の概況、GPSを用いた土地・資源利用の参加型マッピングの試行等の計画はほぼ予定通りに達成できた。
|
今後の研究の推進方策 |
GPSを利用した森林利用の参加型マッピングの試行が終わったので、平成27年度は本格的なデータ収集に着手する。とくに、日常の生業活動に着目し、焼畑耕地の利用、換金対象となっている主な非木材森林資源の利用、及び狩猟のための猟場としての森林利用などに関して、住民がどのように空間を重複利用したり、使い分けているかを地図の形で把握し、それらの結果をもとに住民相互が主体的に資源利用の調整を図るシステムを整備するための資料を得る。
|
次年度使用額が生じた理由 |
予定していた図書・資料の購入が年度内に間に合わなかったこと、及び渡航費用(航空賃)が原油安などの影響により予定より安かったためである。
|
次年度使用額の使用計画 |
平成26年度の繰り越し額と平成27年度の配分額を合わせ、合計1,841,200円を(1)旅費として1,500,000円、(2)物品費として241,200円、(3)成果発表のための英文校閲費として100,000円をあてる計画である。
|