研究課題/領域番号 |
26560018
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研究機関 | 株式会社国際電気通信基礎技術研究所 |
研究代表者 |
住岡 英信 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, その他部局等, 研究員 (80636423)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 人の感情の伝達 / メディア開発 |
研究実績の概要 |
本研究では、コミュニケーションしやすいインターフェースデザインのために人工物から人の存在を感じるための必要要件を探索し、人のように感じられるインターフェースのための設計指針を構築する。具体的な研究項目は1)各感覚における人の存在感を与える 情報の同定、2)人の存在感に対する異種感覚情報統合の効果検証、3)人と感じられるインターフェースデザインの社会に及ぼす影響の調査である。 本年度は、人の存在感に関する異種感覚情報統合よってどの程度メディアから人の存在を伝えるについても検討を行った。まず、音声と触覚との統合による効果を注目し、クッション型のメディアを抱きながら会話を行った際にメディアから呼吸に近い振動を提示したときに人の存在を感じやすくなるかについて予備的検討を行ったが、十分な効果を得ることが出来ず、音声と振動の同期を伴う応答が重要である可能性が示唆された。この点を踏まえ、人の存在を感じる最小デザインのメディアには異種感覚情報を同期して呈示することを検討している。 また、5歳児においては人工物を擬人化するには顔の情報は必須ではなく、人のような形をしているクッションでも擬人化を促進できること、そういったクッションを抱きながら内蔵したスピーカーを通して人の音声を聞くと、2歳児ではそのクッションに対する擬人的な印象が促進される可能性があることが示唆され、人の存在を感じる必要要件として顔の情報は必須ではなく、何かしら人のような情報を提示することが重要であること、さらに2つの情報があれば人の存在を感じやすくなる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度中に人の存在を感じる最小デザインの1例として開発する予定であった研究プラットフォームについて検討すべき点が予定より多く、試作を今年度中に完成させることができなった。しかし、スマートフォンなど、代替システムによる検討を進め、異種感覚統合のために同期した情報提示が重要である点を確認できたため、得られた知見を次年度前期に完成するプラットフォームに搭載し、実際の効果を系統的に検討する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
現在、予備的に行ってきた検討を踏まえた研究プラットフォームの試作が進んでおり、上半期中に完成予定である。完成したプラットフォームを用いて、異種情報の同期させ応答することが人の存在を伝達するために効果的であるかどうかを検討する。また、複数のプラットフォームを用意し、複数被験者による実証実験を通して人の存在を伝えるメディアが社会に与える効果を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究プラットフォームの試作に使用する予定であったが、今年度得られた新たな知見を取り込んで開発を行なうことになり、次年度上半期に試作を行なうことにしたため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度上半期に研究プラットフォームの試作に使用する。
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備考 |
当該年度の研究成果を発表予定であった国際学会が中止されたため、次年度に成果を発表する予定である。
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