研究課題/領域番号 |
26560109
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研究機関 | 徳山工業高等専門学校 |
研究代表者 |
北村 健太郎 徳山工業高等専門学校, 機械電気工学科, 准教授 (60380549)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 超小型人工衛星 / エンジニアリング・デザイン教育 / 工学教育 |
研究実績の概要 |
H27年度は、国内の大学におけるCubeSatの開発状況や教育への効果について、JAXA研究開発部門および日本大学工学部航空宇宙工学科への訪問調査を行った。JAXAでは、国内のCubeSatの動向およびCubeSat向けのセンサー及びアクチュエータの低価格製品化やこれらの市場状況に関する聞き取り調査を行った。日本大学では、SPROUT等の大学発CubeSatに関して学生の開発体制や、教員のサポートの方法等に関して実地調査を行った。 これらの調査によって、CubeSat向け低価格センサー等を用いた教材開発やCubeSat開発を実際の教育カリキュラムと取り入れる手法等に関して意見交換を行った。その結果、CubeSat開発を一般的な技術者教育として適用するためには、学生がシステム開発の概念についての理解を含めることが肝要であるとの結論に至った。 これらの、知見を踏まえ研究室内でのCubeSat開発の検討を進め、学生主体でのミッション機器の開発等を推進した。 さらに、高専の専攻科生を対象としたエンジニアリング・デザイン科目のカリキュラムに関して検討を開始した。これらの検討に際しては、現在JAXAで検討中のUZUME計画のアウトリーチ活動の適用も効果的であるとの観点から、複合的な検討を行った。 基本的な衛星システムの概念を理解するために、撮像をミッションとした模擬人工衛星を想定した。衛星システムのメインマイコンとしてPIC18Fシリーズを採用し、撮像様のカメラはArduinoによって制御する構成とした。また、これらのシステムに電源を供給する回路基板までを実装した。これによって、学生は自ら考えた撮像ミッションを達成するために、既存の基本コンポーネントを利用しながら、付加的なサブシステムを自分たちで考案し、実装して行くことができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初想定していた、大学等へのヒアリングを順調に進めてきており、大学衛星の開発における状況や、指導する教員の問題意識の類型化等も進みつつある。これらの知見を生かした、実施のモノづくり教育への応用に関しては、H27年度の研究において実際の教材開発が大きく進展した。 また、学生主体の実践的な衛星開発に関しても、ミッション機器の開発を中心に課題解決の方策が順調に進捗している。 一方で、実際の教材として模擬人工衛星の試作品が完成したことは大きな進捗として特筆される。本試作品の実際の授業における利用を試行することにより、今後問題点の抽出と改良、またカリキュラム全体の構想の進展が期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに、CubeSat開発実績のある大学へのヒアリング調査を継続してきており、H28年度も引き続き訪問調査を行う。特に最終年度であるH28年度はこれまでの訪問調査の結果をまとめ、成果公開につなげていく活動を行う。 当初予定していたアンケート調査に関してはこれまでに実施していないが、これは訪問調査を継続する中で、統一したアンケートの内容を精査しているためである。H28年度の訪問調査の内容をまとめる際に、統計データの裏づけが必要な項目が生じた際にアンケート調査による根拠の補強を行っておく予定である。 また、教育実際に関してはH27年度の模擬事項衛星の教材を活用した授業を試行し、エンジニアリング・デザイン教育の観点からのカリキュラム設計を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた米国での学会発表が校務の都合上参加できず、中国での学会発表に変更したため、旅費の余剰が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
H28年度は成果報告を行う学会と、訪問調査先の調整によって旅費に試用する予定である。
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