数学の記述形式の試験において,どのような解答方略でも,正解までの論理的な筋道が示されていれば,同じ評価(得点)が与えられる。しかし,採点過程で,誤答や正解に至らなくても,数学的思考力・判断力・問題解決能力等を評価するに値する解答があることは既知の事実である。そこで,本研究課題では,解答方略に着目して「得点」とは異なる新たな評価尺度を探ることを目的とし,記述形式の答案を解答方略別に分類し再分析を行った。その結果,解答方略と正答率の間には有意な違いはほとんど認められなかったが,解答方略別と「得点」に関しては,特定の問題の正誤よりも解答方略の方が数学の能力を評価している可能性がある問題が観察できた。
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