指定テンポ(1Hz・2Hz・3Hz)と最高速で言語性交互変換運動課題を実施することで、音声信号の分節と発語運動の適切さを調べた。健常者では3Hz以上でも分節が達成されていたが、dysarthria患者では2-3Hzでも分節が難しく発語運動の破綻が示唆された。上下唇・顎の運動観察によりテンポ・声量と標的母音で発語運動の大きさが規定されること、4D-CTによる声道形状の観察により側音化構音/ki/で声道狭窄の空間狭小化と偏りがあること、が明らかにされた。発語障害患者での高速発語でみられる発語の不明瞭さや誤りには、高速発語での標的への運動未到達あるいは声道狭窄の異常が関与している可能性がある。
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