研究課題/領域番号 |
26560317
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研究機関 | 岐阜工業高等専門学校 |
研究代表者 |
森 貴彦 岐阜工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (20332025)
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研究分担者 |
原 友紀 筑波大学, 医学医療系, 講師 (30431688)
清水 如代 茨城県立医療大学, 公私立大学の部局等, 講師 (40620993)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 電動義手 / 切断肢 / 回転センサ / リハビリテーション / 福祉用具 |
研究実績の概要 |
2014年8月7日と8日に札幌医科大学医学部神経科学講座藤戸研究室を訪問し,本研究のアイデアや方向性に関して神経学の立場から意見とアドバイスをもらうとともに,茨城県立医療大学付属病院医科学センター教授を紹介いただいた.それまでに茨城県立医療大学付属病院整形外科と共同研究を実施していたが,新たに同大学付属病院医科学センターとも連携をとることとなった.本研究の研究代表者は,2015年6月ないし7月以降に同大学の学外研究員となる予定である. 2014年8月27日と28日に東京ビッグサイトで開催されたJST主催のイノベーション・ジャパン2015大学見本市に本研究テーマを出展し,本研究で製作している電動義手のPRを行った.その結果,東京大学大学院工学研究科電気系工学専攻染谷研究室とマッチングが成功し,同年10月から本研究に関して共同研究を開始することとなった.現在,同大学染谷研究室が持っている技術シーズを本研究の電動義手ハンド駆動のための生体センシングの補助技術として応用すべく,センサの試作を実施しているところである. 2014年9月16日に筋電義手を用いた活発なリハビリテーションを実施している中部ろうさい病院を訪問し,筋電義手を用いたリハビリテーションの実際や現場ニーズをを実地調査し,担当医や理学療法士とともに打ち合わせを行った.その結果,医療機関によって異なる考え方や電動義手に求められる具体的なニーズを得ることができた. 2015年3月に株式会社協和義肢製作所に協力をいただいて,本研究に必要な義手ソケットと上肢3次元モデルを製作した.義手ソケットの長さ,直径,素材,構成をすべて練り直し,本研究を進めるに当たり,機能と見た目を大幅に改善した.また,上肢3次元モデルは,当初計画であるMRI撮影およびそれに基づく3Dプリンタによる製作から変更し,市販されている人肌ゲルを用いて安価な上肢3次元モデル製作した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
共同研究および臨床研究を行っている筑波大学医学医療系整形外科および茨城県立医療大学付属病院整形外科において,本研究の協力者である左前腕切断患者の上肢切断肢をMRI撮影する予定だったが,社会復帰している協力者の職場での環境が変化し,本研究にほとんど協力いただけなくなったため,患者のMRI撮影を断念せざるを得なくなった.本研究で製作予定だった上肢3次元モデルは,患者の腕に基づくものが理想であるが,必ずしもその限りではない.健常者の腕から得られた撮影データを編集しても同等なものが得られる.そこで,本研究の研究代表者自らが被験者となり,MRI撮影を行う方向へ計画を変更することとした. 岐阜工業高等専門学校の近隣の大学病院や医療機関を複数訪問し,MRI撮影の研究協力を依頼した.しかし,医療機関では何らかの疾患がない健常者を対象にMRI撮影することは医療保険および倫理的に許されず,また,大学病院では健常者を対象にMRI撮影は可能であるが長期にわたる倫理委員会の審査を経る必要があり,研究助成期間内でのMRI撮影を断念せざるを得なくなった. そこで,従前から本研究の義手ソケットを製作いただいている株式会社協和義肢製作所の義肢装具士に上記の事情を説明して協力を求め,試行的に市販されている人肌ゲルを用いて上肢3次元モデルを製作することとなった.結果的に上肢3次元モデルを安価に製作することができた. 上記の通り,研究の途中で協力者の環境が大きく変化したため,MRI撮影の協力機関を探すために多くの時間が費やされた.結果的にH26年度内に上肢3次元モデルを安価に製作することができたが,一方で,義手ハンドと樹脂製ベアリングの製作に十分な時間を割くことができずH27年度に繰り越すこととなった.
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今後の研究の推進方策 |
研究目的にしたがって5指同時駆動モータの指令値を生成する新しい駆動方式と軽量化を実現する技術を開発する.これまでに製作した5指同時駆動電動義手ハンドは,専門家との議論やPR活動を通して,研究計画段階では明らかでなかった喫緊に解決すべす複数の課題が表面化してきた.たとえば,義手ハンドの親指の関節可動域が平面的であったため,機能が制限され,思うような日常生活動作を獲得できない.また,5指牽引のためのワイヤが一部,義手ハンドから露出しているため,故障の原因となり得たり美観が損なわれたりする.さらに,モータ回転量を計測するセンサの配置設計が悪く,電気配線のためのスペースが十分に取れず,無理な配線をしているため,将来的に故障の原因となり得る. そこで,上肢3次元モデルを安価に製作できたことで節約できた研究費を用いて,上記の課題解決を早期に図る.また,3次元CADソフトSolidWoksを用いて樹脂製ベアリングを3次元設計し,それに基づいて製作する.
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次年度使用額が生じた理由 |
共同研究機関において,本研究の協力者の腕をMRI撮影する予定だったが,協力者の職場での環境が変化して協力できなくなったため,患者のMRI撮影を断念せざるを得なくなった.製作予定だった上肢3次元モデルは,必ずしも患者の腕を撮影したものである必要はない.そこで,本研究の研究代表者自らが被験者となり,MRI撮影を行う計画に変更した.しかし,大学病院や医療機関を複数訪問し,MRI撮影の研究協力を依頼したが,健常者を対象にMRI撮影を許可されず,撮影を断念せざるを得なくなった. 最終的に,従前から本研究の義手ソケットを製作いただいている株式会社協和義肢製作所の義肢装具士に協力を求め,当初予定の高い品質のあるシリコーン製上肢3次元モデルに比べてかなり品質が落ちるが,本研究の有用性やPRに使用するために最低限度の機能を有する人肌ゲルを用いた上肢3次元モデルを安価に製作することができた.
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次年度使用額の使用計画 |
これまでに製作した5指同時駆動電動義手ハンドは,専門家との議論やPR活動を通して,研究計画段階では明らかでなかった喫緊に解決すべす複数の課題が表面化してきた.たとえば,義手ハンドの親指の関節可動域が平面的であったため,機能が制限されてきた.また,5指牽引のためのワイヤが一部,義手ハンドからはみ出ているため,故障の原因となり得たり美観が損なわれたりする.さらに,義手ハンド開閉量を計測するポテンショメータの配置が悪く,電気配線のためのスペースが十分に取れていない. そこで,上肢3次元モデルを安価に製作できたことで節約できた研究費を用いて,上記の課題解決を早期に図る.
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