アスリートの競技ヒストリーの中での身体症状や動きの変化の深層心理学的な意味を、事例研究法や修正グラウンデットセオリーを用いて、心理力動的な観点から検討した。その結果、身体症状・反応が「安全弁」、その時の「限界」や「壁」を示しており、それによって競技からの離脱、あるいは「乗り越えるべき課題」となり競技力向上や人間的成長につながっていた。身体症状・反応が≪こころとからだの悲鳴≫となり、「過負荷による身体症状」「心身のアンバランス」「パフォーマンスの変動」となり、それが成長につながるときと、離脱に至るときとがあったのである。彼らの「身体化」は根源的な苦悩との戦いがあることを示していると考えられた。
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