研究課題/領域番号 |
26570002
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐野 正人 東北大学, 国際文化研究科, 准教授 (90248724)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 歴史認識問題 / 韓国 / 戦後初期 / 解放直後 / 1990年代 / 文学 / 映画 |
研究実績の概要 |
研究課題「日韓歴史認識問題の起源と展開――戦後初期と1990年代を中心に――」を遂行するために、まず平成26年度は戦後初期の時期(1945~1955)に集中して研究を進めた。主に以下の項目に関して力を注いだ。
(1)東北大学図書館、日本近代文学館での資料調査――日本の戦後初期の雑誌(文芸雑誌、総合雑誌)を中心にして目録を調査し、歴史認識に関係するような記事をチェック、および収集した。購入できる雑誌目録に関しては購入した。(2)東京国立近代美術館フィルムセンターでの調査――戦後初期の映画フィルムを中心に目録を調査し、現存するフィルムの状態を調査した。また歴史認識に関連するような映画をチェックし、入手できる市販のものに関しては購入した。(3)韓国での戦後初期(解放直後)の雑誌、および映画フィルムの目録を作成するために、研究協力者の李敬淑氏(宮城学院大学)の協力を仰ぎ、雑誌記事、および映画フィルムの目録、および現在の残存状況についての調査を依頼した。(4)研究会の準備――東北大学の教員、および大学院生を中心とした戦後の日韓の歴史認識に関する研究会を準備し、27年度に立ち上げる予定である。(5)研究協力者のネットワークを構築――日韓の研究者のネットワークを構築するために、日本の波潟剛氏(九州大学)、長澤雅春氏(佐賀短期大学)、吉原ゆかり氏(筑波大学)、渡辺直紀氏(武蔵大学)の連携を仰ぎ、研究協力者としての活動を依頼した。
以上、主に今年度は戦後初期の日韓の歴史認識に関する基礎的な資料調査とネットワークの形成を中心に研究を遂行した。平成27年度以降はそれらの成果を基礎として日韓相互の歴史認識の形成過程についての考察と、日韓の研究者たちの連携に力を注ぐ予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の予定として、日韓の双方における戦後初期(解放直後)の歴史認識に関する文芸雑誌、総合雑誌での記事の目録、および映画フィルムの目録を集めることを第一に予定したが、それについては概ね達成できたと考える。また研究協力者のネットワークの構築はほぼ予定通り進行した。 ただ、日本での資料調査に比べて、韓国での調査は今年度は準備段階に終わり、李敬淑氏(宮城学院大学)への目録作成を依頼した所である。今後は、その目録作成を待って、韓国現地での資料調査を早い時期に行いたいと思っている。また、東北大学での研究会を通じて具体的な日韓の歴史認識問題についての検討を進めたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度以降は、まず韓国での解放直後の雑誌記事と映画フィルムの目録の作成を行い(研究協力者・李敬淑氏の協力を仰ぐ)、その目録に従って、早い時期に韓国現地での資料調査を行う予定である。 そのような資料調査と並行して、平成27年度は東北大学での研究会を立ち上げ、日韓の歴史認識問題の具体的な検討に着手する予定である。 また韓国での研究協力者のネットワークを早い時期に構築し、研究会・シンポジウムなどへの協力を依頼する予定である。 平成27年度の夏季休暇に、そのような課題遂行のために韓国現地での調査、およびネットワークの構築を行いたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は主に東北大学図書館および近代文学館などでの基礎資料の調査、および資料の購入・収集などに集中したため、当初予定していた韓国での現地資料調査ができずに終わってしまった。そのためそれに予定していた約20万円の予算が消化できずにしまった。また、専門的知識提供への謝金、および研究補助、資料調査への謝金およそ45万円に関して、今年度打ち合わせを終えたものの実際の支払いが新年度(27年度)になってしまうため、今年度の支出には計算できなかった。それらの原因でおよそ70万円の次年度使用額が出てしまった。 なお、実際には新年度に入ってすぐ東京での資料調査を行ったので、旅費・物品費での約6万円の支出が前年度の支出に加わっている状況である。
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次年度使用額の使用計画 |
27年度はすでに4月に東京での資料調査を終えており、また夏までに再度東京での資料調査を行う予定を立てている。また夏季休暇には韓国での現地資料調査を行う予定であり、そこで資料調査、資料購入を行う予定である。また韓国での研究協力者との間で、今後の研究計画についての打ち合わせを行い、専門的知識の提供に関する謝金を支払う予定である。 また研究補助、および資料整理の人件費に関しては、前年度に宮城学院大学の李敬淑氏との打ち合わせを終えており、今年度から実際の作業にとりかかる予定である。集中的に数カ月で作業をしてもらう計画を立てており、それによって前年度の未使用額を使用する予定である。
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