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2015 年度 実施状況報告書

聞き取り調査を活用した北欧バルト海地域諸語の統語的ゆれに関する微視的類型論研究

研究課題

研究課題/領域番号 26580072
研究機関名古屋大学

研究代表者

佐久間 淳一  名古屋大学, 文学研究科, 教授 (60260585)

研究分担者 入江 浩司  金沢大学, 歴史言語文化学系, 教授 (40313621)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード言語類型論 / 統語論 / 非人称構文 / アンケート調査 / 国際情報交換 / フィンランド / アイスランド:スウェーデン / リトアニア
研究実績の概要

【研究打ち合わせ】3月6日に、名古屋大学において、今年度の研究経過の報告および次年度の研究計画に関する打合せを行った。
【各自の研究経過】研究代表者の佐久間は、フィンランドの非人称構文における格表示のゆれに関して、大学院生をフィンランド・トゥルク大学に派遣し、聞き取り調査とアンケート調査を行った。その結果、調査した統語的環境の多くで主格と属格のゆれがあることを確認した。
研究分担者の入江は、アイスランド語のいわゆる斜格主語をとる非人称動詞のうち、(1) 対格主語をとるのが規範的とされる動詞と(2) 与格主語をとるのが規範的とされる動詞について、主語の格のゆれに関する調査を現地アイスランドで行なった。(1) では、1/3程度の動詞で対格と与格が同程度使われるか、与格の方がよく使われていることがわかった。(2)では 、1/4程度の動詞で対格の方が普通と感じられているという結果が得られた。
連携研究者の當野は、スウェーデン語の非人称構文および虚辞を含む構文に関して、スウェーデン語のコーパス(http://spraakbanken.gu.se/korp/)による予備調査を行った。27年度は現地で聞き取り調査を行う予定であったが、所属先の変更等のため、28年度に延期することとした。
研究協力者の櫻井は、リトアニア語の非人称文における統語的なゆれに関して、現地リトアニアで諸方言のネイティブスピーカーに聞き取り調査を行い、非人称文における主格目的語のゆれに関するアンケートの修正を行った。調査結果は、東京大学で開催されたバルトスラヴコロキウムにおいて発表し、名古屋大学で行われた当プロジェクトの研究会でも報告した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

27年度は、フィンランド、アイスランド、リトアニアにおいて、それぞれ、フィンランド語、アイスランド語、リトアニア語の統語的な「ゆれ」に関する現地調査を行うことができ、それによって、研究期間内に研究の目的を達成するのに必要なデータを十分収集することができた。なお、スウェーデン語に関しては予定していた現地調査ができなかったが、28年度に行う現地調査に向けた事前調査は27年度中に完了した。

今後の研究の推進方策

28年度は、26年度・27年度に行った聞き取り調査やアンケート調査の結果を踏まえ、必要に応じて現地で追加調査を行うとともに、調査結果を分析して、12月開催予定の日本言語学会大会でワークショップを開催する。各自が予定している研究計画は下記の通り。
研究代表者の佐久間は、27年度に行った調査の結果を踏まえ、フィンランドで追加調査を行うとともに、統語的なゆれの要因を、フィンランド語における主格と属格の機能の観点から解明する。
研究分担者の入江は、27年度の調査を踏まえ、アイスランド語の斜格主語をとる非人称動詞の主語の格のゆれについて、与格主語に収斂するグループと対格主語に収斂するグループに大まかに分け、その傾向に関与する要因の解明をめざす。調査方法としては、アイスランドの調査協力者に電子メール等で調査票を送り、それに答えてもらうという手段を取る。可能であれば、協力者を通じて複数の話者に対するアンケート調査も実施する。
連携研究者の當野は、27年度の研究を踏まえた上で、人称構文と非人称構文でゆれのある現象に関して、スウェーデンで聞き取り・アンケート調査を行い、どのような要因が構文の選択を決定しているかを明らかにする。現地での調査は8月あるいは9月を予定している。また、その調査結果を論文あるいは学会発表の形でまとめる。
研究協力者の櫻井は、事前調査の結果と研究会での話し合いをもとに修正・変更を加えたアンケートの内容を調整し、9月にリトアニアを訪問し調査を継続する。調査地は、引き続き、非人称文における主格目的語の現象がより顕著に見られる高地東部方言話者の多い地域と、対格目的語しか見られない標準語の話される地域を予定している。アンケート調査の内容は、情報構造による統語的ゆれに的を絞り、他の北欧バルト海地域諸語との比較対照も行いたい。

次年度使用額が生じた理由

次年度使用額が生じた主な理由としては、研究協力者が、リトアニアで現地調査を行った際、本研究課題とは別の科学研究費補助金をその旅費にあてたため、本研究課題から支出する予定だった旅費が不要になったことがあげられる。また、連携協力者は、27年度中にスウェーデンで現地調査を行う予定であったが、所属機関が変わったことなどの事情で現地調査を実施できなかったことも、次年度使用額が生じる理由となった。

次年度使用額の使用計画

本研究課題の特色の一つは、現地で行うネイティブスピーカーへのアンケート調査にあり、26年度、27年度に使用しなかった分は、本年度、フィンランド、スウェーデン、リトアニアで現地調査を行う際の旅費として有効に活用したい。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] On the Reflexive Suffix and Its Predicative Function in Finnish2016

    • 著者名/発表者名
      SAKUMA, Jun'ichi
    • 雑誌名

      Nagoya University Journal of School of Letters

      巻: 12 ページ: 15-22

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] On the Reflexive Suffix and Its Predicative Function in Finnish2015

    • 著者名/発表者名
      SAKUMA, Jun'ichi
    • 学会等名
      XII International Congress for Finno-Ugric Studies
    • 発表場所
      オウル大学(フィンランド)
    • 年月日
      2015-08-17 – 2015-08-21
    • 国際学会
  • [学会発表] リトアニア語の非人称文における統語的なゆれ2015

    • 著者名/発表者名
      櫻井映子
    • 学会等名
      第3回バルトスラヴコロキウム
    • 発表場所
      東京大学
    • 年月日
      2015-04-04 – 2015-04-04
  • [図書] 世界の言語シリーズ12 スウェーデン語2016

    • 著者名/発表者名
      清水育男、ウルフ・ラーション、當野能之
    • 総ページ数
      368
    • 出版者
      大阪大学出版会

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公開日: 2017-01-06  

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