本研究課題では,歴史学へのGISへの応用性を拡張することを基本的目的に置きつつ,空間解析の新たな手法を探ることを目指してきた。その主たるところは,位置座標値が正確とは言えない絵図や古地図を前提とし,そうした不確かな地理空間情報からでも得られる手がかりを基に推論する方法を考えることであった。具体的には,近世の絵図などから,城下町における町と町との隣接関係を抽出して,これにグラフ理論で確立されている分析手法を適用することで,あらたな知見を得る可能性を追究した。その他,近世GISデータの整備や,現代の都市計画に活用できる分析手法の提案に至るまで,多様な研究成果を残すことができた。
|