研究課題
本研究は、飴と鞭、つまり報酬と懲罰という外的インセンティブによる集団内の個人の行動の調整手段について、ゲーム理論を用いた理論分析を展開し、理論予測を実験経済学の手法を用いて検証することを目的とする。ゲーム理論による分析をするに当たり、飴と鞭の重要な側面は、集団の中でより優れた成果をだしたものには報酬を与え、劣った成果をだしたものには懲罰を与える、という相対評価にあると考える。27年度には、26年度から実施していた基本モデルに置ける均衡の導出、および組織の達成度への効果に関する研究の成果を論文としてまとめた。当該論文は英文査読雑誌である Journal of Economic Behavior and Organization に出版された。上記に加えて、理論を検証するような実験も実施している。中国の山東大学の Roland Cheo 氏と共同で中国の中学生を対象として、飴と鞭の効果を検証するようなフィールド実験を行った。当該実験結果は現在論文としてまとめているところである。これ以外にも、複数のラボ実験を実施している。
1: 当初の計画以上に進展している
理論分析結果はすでに、一流の英文査読雑誌に掲載されている。また、理論を検証するような実験についてもデザインを確定している。
本務校は、実験被験者の確保が難しい場合があるので、他大学の実験室の使用を必要に応じて検討する。
本学の実験参加者プールの整備とマンパワーの欠如により、予定していた量の実験が実施できず、計上していた謝金額を使用できなかったことが原因である。当該問題は、高知工科大学以外の実験実施場所を使用すること、実験実施にPDの助力を得ること解決できると考えられる。
未使用額489,956は、H28年度の実験実施用の謝金と旅費として使用していく計画である。H28年度の申請額1,000,000と合わせて、189,956を物品として、750,000を謝金として、500,000を旅費として、50,000をその他として使用する。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件)
Journal of Economic Behavior and Organization
巻: 122 ページ: 17-30
doi:10.1016/j.jebo.2015.11.013