研究課題/領域番号 |
26590191
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
渡邊 洋子 京都大学, 教育学研究科, 准教授 (70222411)
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研究分担者 |
佐伯 知子 大阪総合保育大学, 児童保育学部, 准教授 (90517210)
奥薗 淳二 海上保安大学校(国際海洋政策研究センター), 国際海洋政策研究センター, 講師 (30725289)
角山 香織 京都大学, 薬学研究科, 助教 (10571391)
柴原 真知子 京都大学, 医学研究科, 助教 (40625068)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 生涯学習 / 専門職教育 / 職業教育 / 多職種連携教育 / 異業種交流 / ネットワーク / 教育者養成 / 研修プログラム |
研究実績の概要 |
当該年度の研究活動は、IPE公開ワークショップの実施に向けた入念な企画と準備、当日の運営、全体会・グループディスカッションの記録整理、企画運営者・参加者としての振り返り、フォローアップ調査の方法検討などに集中した。公開ワークショップは2015年10月18日、本科研メンバーによる関西IPE研究会・京大教育学研究科教育実践コラボレーションセンター主催で、京都大学芝蘭会館で開催された。テーマは「InterProfessional(多職種連携・異業種交流)からプロフェッショナリズムを考える―木に関わる専門職の協業を手がかりに」として、従来IPEの主流を占めた医学・医療関係者に加え、より多様な専門職が他職種とともに全く異なる領域の専門職の仕事に触れ、意見交換することで、専門職の自覚や多職種連携への認識の深まりを目指した。午前中は「木に関する専門職」(林業従事者、建築家、工務店経営者)から「協業」に関わる話題提供を受け、午後はコメンテーター(薬剤師・学芸員)の提起をもとに、4グループで「プロとして働く」「プロとともに働く」をテーマに議論を行った。一般参加者は、薬剤師、助産師、弁護士、行政書士、菓子職人、消防士、編集者、元英語教師、元システム・エンジニアなど18人で、活発な議論が展開され、参加者アンケートでも高い評価が得られた。 同ワークショップ後、約10回のチャット会議(Googleハングアウトを使用)を開催し、当日の音声記録・文字起こし記録を手がかりとした振り返り作業やフォローアップに関わる意見交換を行っている。ワークショップ参加者を対象とするフォローアップ調査を、2016年5月に実施の予定である。それを踏まえて登壇者のインタビュー、さらに企画・運営を担当した研究会メンバーの振り返りディスカッションを行い、2016年度の後半には、IPE基盤型専門職研修プログラムの開発作業に取り組む予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
IPE基盤型専門職研修プログラムの目指すべき方向とあり方について、研究会メンバーが実際に公開ワークショップを企画・運営するに至る議論や登壇者との事前打ち合わせ、スケジュールの具体的展開に関わる一連の準備作業の中で、専門職自身にとってのIPEの意義や特色について多くの検討を重ねることができ、メンバーの共通理解とIPEの多面的・創造的な教育可能性を見出すことができた。また当日のワークショップの各プロセスや各場面での参加者の経験と認識の変容について、全音声記録と文字起こし記録を丁寧に読む作業と今後行うインタビューから考察し、IPE基盤型のプログラムを通して参加者の学びをどう促進・発展させられるかを検討することが、最終目的のプログラム開発に中核的意味をもつとの認識が共有され、その作業が順調に進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
上述のような見通しをもち、以下のような研究活動を予定している。 ①インタビュー調査(当日参加者・登壇者)、②音声・文字おこし記録の精読作業とそこから読み取れることに関わる議論、③企画・運営者としての振り返りのディスカッション、④以上を通しての、公開ワークショップから抽出できるIPE的要素とその活用に関する総括的な議論、⑤参加者へのフィードバックとしての「日々の自己省察のためのパソコン壁紙」の作成・配布、⑥IPE基盤型専門職研修プログラムの開発作業・⑦同プログラムの提案、解説・資料を所収する『IPE基盤型専門職教育ハンドブック』の作成・刊行、⑧学会発表、⑨共同論文の執筆・投稿など。
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次年度使用額が生じた理由 |
本公開ワークショップが、本萌芽研究の中心課題である「IPE基盤型専門職研修プログラム」の開発にとって、当初の構想よりはるかに重大な意味のある企画として認識されるに至った。 そこで、登壇者(話題提供者3人とコメンテーター2人)への謝金、会議室代、当日の音声データの文字おこし代金(業者依頼)などに当初予算を上回る負担が生じたため、最終年度にもう一度、別のワークショップを開催する予定だったことを断念し、予算を前倒し請求した。 ただ、本年度はワークショップ開催以降、メンバーの日程調整がほとんどうまくいかず、会議の参集ができなかったため、チャット会議で代用した。このため、研究分担者の旅費などが予定通り使われず次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
この次年度使用額は、2016年5月に予定しているフォローアップ調査の費用(会議費・文字おこし代金(追加)、記録保存用文具など)に充当する予定である。研究分担者の旅費も、同調査と補足調査のために充当される予定である。
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