本事業は,発展途上国における次世代育成のシステム改善を支援するモデル構築を図るもので,中米ドミニカ共和国と共同して教師教育の改善を図るため,①ドミニカ共和国サントドミンゴ自治大学(UASD)において同大学教員等を指導した。② UASD教員を広島大学に招聘し、研修を行った。③ UASD教員の授業研究能力向上のための資料を作成・翻訳した。 UASDにおける研修では、「授業における省察」についてのパネルディスカッションにおいて、広島大学、UASD双方よりパネラーが登壇・討論し、UASD教員、学生がそれらの視点を獲得する機会となった。パネルディスカッション、教科別協議会等を通じて、参加者の発言などから、UASD側にとっても、協議会が重要であること、協議会から生まれてくるものがありそれが授業改善に導かれること、が実感された機会となった。UASDから広島大学には、授業の観察視点(授業を構成する方法論)、観察記録の取り方、協議会において観察記録と観察視点とを連結させて授業改善のための議論の導き方、助言の方法、観察者の協議時の貢献の仕方、などのさらなる助言が求められた。 広島大学における研修では授業研究について深い討論を行うとともに、附属学校を訪問して教育実習ならびにスーパーサイエンスハイスクールの教育実践等について協議した。UASD学部長からは、教育実習の方法論等の研修をUASDにおいて実施することを求められた。 国際協力版『授業研究入門マニュアル』を日本語で作成し、その一部をスペイン語翻訳ならびに英語翻訳した。また、同マニュアルを簡約化したリーフレットを日本語ならびにスペイン語で作成し、UASD研修において同教員ならびに参加学生に配布し、高い評価を得た。 UASD教員ならびに学生の研修へは会場教室の定員以上の参加があり、また討議は授業研究の本質に関わるものとなり、事業の効果は所期の見込み通りとなった。
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