ブラックホール(BH)は「光も(重力波も)脱出できない程に極端に重力が強い領域」なので、天体自身が発する光を捉えるという通常の観測手段では観測できない。そこで本研究は、一般相対論によって数学的に示されている「BH一意性定理:BHは質量と自転速度だけで完全に特徴づけられる」に注目し、「BH直接観測」とは「BHの強い重力に起因する現象の観測で質量と自転速度を測ること」だと定義した。そして、BH近傍の光源が発する2本の光線がBH周囲を巡った後に遠方の観測者に届く状況を想定し、その2光線の到達時間差と強度比から質量と自転速度を測る原理を考案した。今後は、この原理を実際の観測に応用していきたい。
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