太古代の地質試料中には硫黄の質量非依存性同位体分別(S-MIF)が記録されている。S-MIFの生成過程を含む太古代の硫黄循環を解明することは、大気・海洋系の酸化史を理解する上で重要である。海水硫酸は、大気・海洋系の硫黄循環において、様々なプロセスに関わる要の物質である。太古代の海水硫酸の硫黄同位体比を復元することは特に重要である。炭酸塩置換態硫酸(CAS)は、太古代の海水硫酸の重要な記録媒体である。しかしCASの四種硫黄同位体分析法は未確立である。本課題はCASの新たな回収方法を考案し、その有用性を確かめた。さらにこの手法に従って地質試料を分析し、太古代の海水硫酸の四種硫黄同位体比を復元した。
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