研究課題
島弧火山のマグマだまりにおける酸化還元状態について明らかにするため、富士山1707年宝永噴火の斑レイ岩捕獲岩について酸素フュガシティ(fO2)条件を検討した。この斑レイ岩は、富士山地下のマグマだまりでマグマがゆっくりと固化したものであり、マグマだまり内部のfO2状態を記録していると期待できる。また、それらの多くはイルメナイトとマグネタイトの両方を含むので、FeTi酸化物温度・酸素シュガシティ計を適用することで、鉱物化学組成から平衡温度・fO2条件を見積もることができる。捕獲岩を地表までもたらした母岩マグマの影響を避けて平衡温度・fO2条件を見積もった結果、760-940℃、QMF+0.6~+2の値を得た。このfO2条件は、島弧の上部マントルおよび初生マグマに一般的な範囲に一致することから、マグマだまりでのマグマ分化過程でfO2条件は大きく変動しないと考えられる。今後、FeTi酸化物鉱物のリム部分にみられる化学組成ゾーニングを解析することで、捕獲岩がマグマに取り込まれてから噴火するまでのタイムスケールを推定できるだろう。また、本研究で用いたFeTi酸化物温度・酸素シュガシティ計を島弧下部地殻由来の斑レイ岩に広く適用することで、下部地殻の酸化還元状態の解明が期待できる。
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Journal of Geophysical Research
巻: 120 ページ: 6404-6430
10.1002/2015JB012209
Journal of Applied Physics
巻: 118 ページ: 073301
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http://www.ipc.shizuoka.ac.jp/~sekmich/EBSD/EBSD.html