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2014 年度 実施状況報告書

マントル有機物の成因と起源:天然かんらん岩試料の詳細な観察に基づく証拠固め

研究課題

研究課題/領域番号 26610176
研究機関独立行政法人海洋研究開発機構

研究代表者

阿部 なつ江  独立行政法人海洋研究開発機構, 海洋掘削科学研究開発センター, 主任技術研究員 (80302933)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードかんらん岩捕獲岩 / ざくろ石かんらん岩 / オフィオライト / モロッコ
研究実績の概要

平成26年度は,マントルかんらん岩試料の採取に重点を置き, 5月にモロッコで開催された国際レルゾライト会議(6th International Orogenic Lherzolite Conference)に付随するプレおよびポスト会議巡検に参加し,サンプリングを行った。
プレ巡検では,北部モロッコのリフ山脈に位置するベニブセラ(Beni Bousera)かんらん岩体において,サンプリングを行った。同岩体は,上部マントルかんらん岩として高圧相となるざくろ石を含むかんらん岩体であり,地下70km以深の上部マントルから上昇してきたことが分かっている。その岩体において,ざくろ石かんらん岩,ざくろ石輝石岩,スピネルかんらん岩を採取できた。
ポスト巡検では,モロッコ中央部に位置する中央アトラス(Middle-Atlas)アルカリ玄武岩火山群において,その玄武岩に包有されているかんらん岩捕獲岩を採取した。捕獲岩は,スピネルかんらん岩(レルゾライト),ウェールライトが主で,ごく一部ハルツバージャイトが含まれる。
これら試料の一次記載と分類を行った。ベニブセラかんらん岩体から採取した試料は,かつての沈み込み帯で形成されたことが示唆されている。中央アトラスのかんらん岩捕獲岩は,典型的な大陸下リソスフェリック・マントル物質で,マントル交代作用の影響をほとんど受けていない物であった。
両産地の試料は,地表付近での変質があまり進んでいなく,非常に新鮮であり,マントル有機物を含むことが期待されている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

岩石記載についてはやや遅れているものの,期待以上の試料(新鮮なざくろ石かんらん岩,ざくろ石輝石岩)が採取できたことで,マントル岩石試料の多様性を予想以上に確保できそうである。このことから,岩石記載の遅れを次年度以降に取り戻すことができると考えられる。

今後の研究の推進方策

今後,採取した試料の記載・分類を確実に進め,マントル有機物の存在可能性の高い試料から優先的に,微細部分における有機物の検出に努めたい。また,当初の計画予定である試料採取のうち,ヨーロッパにおけるかんらん岩捕獲岩の試料採取を行い,より多様性のあるマントル試料について検証を進める予定である。北海道における試料採取については,平成27年度に実施できる見通しが立たないため,平成28年度早期に行いたいと考えている。

次年度使用額が生じた理由

試料採取時に掛かる輸送費を別経費から支出することにより押さえられたこと、試料の処理・分析費にかかる消耗品を、以前に購入済みのものでまかなえたことで大幅に押さえることが出来た。

次年度使用額の使用計画

新たな試料採取にかかる旅費と輸送費を追加すると共に、試料の処理・分析費と、分析に掛かる謝金に使用し、試料の分析・分類を進めたい。分析には,海洋研究開発機構・高地コア研究所のSIMSや,マイクロCTスキャンを用い,非破壊分析を優先期に実施する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Chapter 4.2.1. Formation and evolution of oceanic lithosphere: new insights on crustal structure and igneous geochemistry form ODP/IODP Sites 1256, U1309, and U1415.2014

    • 著者名/発表者名
      Ildefonse, B., Abe, N., Godard, M. Morris, A., Teagle, D.A.H. and Umino, S.
    • 雑誌名

      (Eds. Stein, R., Blackman, D.K., Inagaki, F. and Larsen, H.-C.) Earth and life processes discovered from subseafloor environments. Developments in Marine Geology v.7. Elsevier

      巻: 7 ページ: 449-505

    • DOI

      doi: 10.1016/B978-0-444-62617-2.00017-7

    • 査読あり
  • [学会発表] Petrology of the peridotite xenoliths from lower oceanic lithosphere2014

    • 著者名/発表者名
      Natsue Abe
    • 学会等名
      6th International Orogenic Lherzolite Conference
    • 発表場所
      Marrakech, Morocco
    • 年月日
      2014-05-08 – 2014-05-11

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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