研究実績の概要 |
カルシウムダブルスパイク調整前に、念のためカルシウムスパイク中に含まれる他のアルカリ土類元素の影響を見積もった。カルシウムスパイクを加えた普通コンドライト全岩試料と、スパイクを加えない全岩試料についてバリウム同位体分析をおこない、両者を比較することによってカルシウムスパイク中の他のアルカリ土類元素の同位体への影響を評価した。カルシウムダブルスパイクを調製する前に、スパイク中に含まれる不純物(ストロンチウムとバリウム)を除去しなくてはならないことが判明した。 カルシウムダブルスパイク調製は、ブランクの問題のためにいったん休止して、ストロンチウムダブルスパイクを調製した。5種類のストロンチウム-84とNIST SRM987の混合試料から、ストロンチウム-84スパイクの濃度を求めた。同様にして、ストロンチウム-87スパイクの濃度を求めた。ストロンチウム-84/ストロンチウム-86比が1.2となるようにストロンチウム-84, -87スパイクを混合した。次に、このダブルスパイクとNIST SRM987の混合10試料について、ストロンチウム同位体組成分析をおこなった。Neymark et al. (2014)と同様の手法により、ダブルスパイクの同位体組成と濃度を決定した。これにより、炭酸塩岩や粘土鉱物の安定同位体変動に適用できる、ストロンチウム-84, -87ダブルスパイクが完成した。
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