塩害を受けたコンクリート構造物に対して、電気化学的脱塩あるいは断面修復による補修を複数回施し、補修による性能の回復効果およびそれに伴って副次的に生じる影響(副作用)について実験的に検討した。脱塩では、累積通電時間にほぼ比例して鉄筋近傍のセメント水和物の分子鎖の分断が生じて局所的な強度低下が生じ、それが付着性能の低下につながることを明らかにした。断面修復では、本研究の範囲では複数回の補修による悪影響は認められず、劣化部分を除去して短繊維を混入した高耐久モルタルを用いて断面修復を施すことで、性能がほぼ回復できることを示した。このように、延命化の限界を考慮した補修計画の立案に貢献できる成果を導いた。
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