本研究は、生活用水源の多くを地下水に依存する熊本県の熊本地域と阿蘇地域、水俣・芦北地域を主な対象として、その生活用水供給システムの変遷に着目し、人の生活の場である地上の居住空間の形成過程とその実態を明らかにすること目的とする。 予備調査の結果、熊本県南部の山間地集落における水道組合と水道祭りに焦点をあてた。この集落では、より良質で豊富な水源を求めつつ、1960年以降、一貫して組合営による自然流下の簡易な施設による生活用水供給システムを維持し、居住空間を形成してきた。小規模地域水道における飲用水の確保という営為は、社会的共同生活としての水道祭りにみられるように集落維持そのものである。
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