今後の研究の推進方策 |
平成27年度には第五書第八章、およびスカモッツィによる註釈の中で必要部分について、26年度と同様現代イタリア語への変換、日本語抄訳、および他の書籍の図版と比較・検討する。また、パッラーディオが描いたとされる同書内の図版を画像処理ソフトにより調整し、文章との整合性、図版の有効性や精度について検証する。特に、ラテン劇場の図に関しては、バルバロの翻訳・註釈と森田やルチアーノ・ミゴット(Marco Vitruvio Pollione “De Architectura”, traduzione di Luciano Migotto, Pordenone, 1990)らの翻訳と比較検討を行う。悲劇、喜劇、諷刺劇の3種類の古典演劇については、当該書籍の直後にバルバロが著した「透視図法の実際」(Daniele Barbaro,“LA PRATICA DELLA PERSPETTIVA”, Venezia, 1569)、およびセルリオ著「建築論」(Vaughan Hart & Peter Hicks編Sebastiano Serlio, ON ARCHITECTURE, Vol. 1 & 2, Yale Univ. Press, 1996)に見られる挿入図との関連を透視図法構成要素との関連から検討する。 実空間との関連では、当該書籍における挿入図を作成する際にパッラーディオが参考にしたローマ時代の劇場に関して、北部イタリアのアオスタ、ブレシア、ヴェローナ、トリエステ、中部イタリアのフィエゾレ、グッビオ、ローマについて、遺跡の状況や行程等を考慮して行程を決め、調査する予定である。また、観客席中央ではなく、左右からの視覚像を確認するために、北部イタリアのヴィチェンツァのテアトロ・オリンピコ、透視図法に関連してフィレンツェのウフィツィ美術館、科学技術博物館等の調査も予定している。
|