現在世界中において、生きたウイルスを利用して癌を治療する癌ウイルス療法に関する臨床試験が積極的に行われている。これは、ウイルスが本来持っている癌細胞に感染後、癌組織内で増殖しながら死滅させるという性質を利用する方法である。 本研究では、ワクシニアウイルスを遺伝子組換え技術によって改良を加え、腫瘍のみを標的破壊するspecific(癌組織に特異的)な効果と、1)ウイルスの形態形成と感染の制御に基づくウイルス腫瘍集積性の向上、2)ウイルスと生体免疫反応の制御に基づく抗腫瘍免疫の誘導・増強により、転移した癌も標的破壊できるようにsystemic(全身的)な効果を併せ持たせる新戦略を確立した。
|