膜電位の振る舞いを説明する概念にDonnan理論とGoldman-Hodgkin-Katzの式(GHKの式)があり、これらは定説となっている。これら定説によれば、イオンの細胞膜透過が膜電位発生に深く関わっている。しかし、定説では説明できない膜電位の振る舞いが報告されている。Ling博士が唱えた吸着理論によれば、膜電位発生は可動イオンが細胞構成物質に吸着固定化されることに起因し、イオンの細胞膜透過性とは一切関係が無い。本研究では、Donnan理論及びGHKの式の妥当性を再考した。そして、定説では実験事実を説明することは出来ず、Lingの吸着理論が膜電位発生のメカニズムである、という結論を得た。
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