真核生物共通の細胞骨格アクチンは、生命活動に必要不可欠なのか。本研究では緑藻クラミドモナスを用いて、この問題に対峙した。この生物にはアクチン遺伝子が2つしかなく、またそれらがコードするアクチン(CrAとNAP)は大きく性質が異なる。研究代表者は以前にCrAの欠損株を得ている。そこでこの株に対してamiRNAによるNAPの段階的発現抑制を行った。その結果、NAPの発現を検出限度以下にまで抑制すると生育に重大な支障が生じるが、CrAを欠損した状態でも通常の10%程度のNAPが存在すれば生存可能であることが判明した。以上から、アクチンは必要だがごくわずかで良いという結論が得られた。
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