私たちは体の一部に傷を受けても、しばらくすると見た目にも機能的にもほぼ元通りの状態にもどす力を備えている。このことを創傷治癒という。本研究の目的は、アヌビスヒヒのような攻撃性の高い霊長類は他の霊長類種と比較してより高い創傷治癒能力を持っているという仮説を検証することであった。申請者はケニア国立霊長類研究所に飼育されている、ヒヒ、ベルベットモンキー、サイクスモンキーの3種に対して軽度の創傷を人為的に作り、その治癒過程を記録した。また、野生のヒヒが創傷を受ける頻度、創傷程度、治癒過程を記録し、自然状態と実験状態の創傷治癒速度の比較をおこなった。
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