塩ストレスに陥ったC4植物では,葉肉葉緑体の膜構造の崩壊が維管束鞘葉緑体に先んじて起こるといった細胞特異的なストレス応答機構が存在する。しかし,その分子機構の詳細は明らかになっていない。本研究では,ローラー法および機械的破砕法を用いて,塩ストレス暴露したC4植物トウモロコシの葉組織から純度の高い葉肉細胞抽出物と維管束鞘細胞群を単離する系を確立し,遺伝子発現解析を進めた。また,葉緑体膜脂質組成を解析し,グリセロ糖脂質の一種モノガラクトシルジアシルグリセロールのストレスに伴う含量変動が膜構造の安定性と関連深いことを明らかにした。
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