天然有機化合物の構造決定において、スペクトル解析は極めて重要である。多くの場合、シグナルの帰属では経験に基づく帰納的判断がなされてきた。従って特異な構造の場合、データベースの信頼性が低下する。一方、近年のコンピュータの発達によって理論に基づくスペクトル予想が可能になってきた。しかし、天然物に応用された例は多くなく、一般化させるには不十分である。そこで、NMR化学シフトおよび電子円二色性スペクトルに標的を絞り、必要な計算手法、基底関数、構造最適化アルゴリズムなどの条件の選択、最適な配座解析法の組み合わせ、精密計算が対象としうる化学構造などのscope and limitationを行う。
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