水蒸気の葉面結露等によってもたらされる葉面の濡れの効果を「Air irrigation効果」として新たに定義し,その物理的,生理生態的な効果を明らかにするために,黄河上流域の畑作圃場の植物群落内での観測および蒸散・光合成測定用の植物個体チャンバ等を用いた室内実験をおこなった. 葉面の濡れによる葉近傍の蒸散要求度の低下によって,蒸散による植物体の水分損失が抑制され,乾燥地作物畑で見られるような乾燥土条件下において,葉の木部圧ポテンシャル,気孔開度が改善されて,光合成も高く維持され,水利用効率が著しく上昇することを明らかにし,Air irrigation効果を考慮した節水農業の可能性を示唆した.
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