Tlx1欠損マウスでは脾臓が形成されないだけでなく、脾臓になるべき間葉系細胞が背側膵臓においてビメンチンおよびデスミン陽性の間葉系細胞として存在することを明らかにした。さらに、胎仔器官培養系を用いて解析した結果、コントロールでは、間葉系細胞の一定の方向性を持った移動が認められたが、Tlx1 が欠損した状況では細胞はランダムな動きを示し、方向性が観察されなかった。したがって、Tlx1欠損では脾臓原基と膵臓原基の分離不全あるいは脾臓原基の胃の大湾にそった移動不全が起こり、脾臓になるべき細胞が膵臓の間葉系組織の中に取り残される可能性が示唆された。
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