本研究の目的は,「心不全における交感神経活性化に対して骨格筋が医療標的となり得る」の仮説の検証であった.まず,ラット覚醒下において筋放電と交感神経活動とを同時に記録する実験系の構築に取り組んだ.ケーブルが接触しあうことによってノイズが発生する問題を解決できず,同時記録系を断念した.ラットすくみ行動時の交感神経活性は心不全で過剰であることを示唆するデータを得た.この過剰な交感神経活性は,抗酸化化合物であるテンポールを静脈内投与しても変化しなかった.末梢よりも中枢が,心不全ラットのすくみ行動時における過剰な交感神経活性の要因であることを示唆する.本研究結果は上記仮説を支持するものではなかった.
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