研究課題/領域番号 |
26670135
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
仲 一仁 金沢大学, がん進展制御研究所, 准教授 (70372688)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 乳がん / がん幹細胞 / 休眠状態 / MMTV-PyVT / 再発 |
研究実績の概要 |
がんの再発を引き起こす原因としてがん幹細胞が想定されている.しかし,上皮性がん幹細胞の維持機構は明らかでない.補助事業者 仲は,慢性骨髄性白血病白血病(CML)のマウスモデルを用いてがん幹細胞(CML幹細胞)の維持機構を解析してきたが,CML幹細胞と上皮性のがん幹細胞の間には共通の制御メカニズムが存在するのではないかという仮説を着想した.本研究では,テトラサイクリン誘導性CMLマウスモデルより純化したCML幹細胞と,乳がんマウスモデルより純化した乳がん幹細胞を用い,これらがん幹細胞の間での共通性を手掛りに,乳がん幹細胞の制御メカニズムを明らかにすることを目的とする. 本年度は,セルソーターを用いて,乳がん自然発症マウスモデルMMTV-PyVTより乳がん幹細胞中の様々な細胞集団を純化し,細胞増殖マーカーとして知られているKi67の染色を行って,これら細胞集団における細胞増殖能を解析した.その結果,乳がん幹細胞のうち,細胞増殖活性の低い細胞集団を得ることに成功した.さらに,これらの細胞集団を, レシピエントマウスの正常乳腺幹細胞を外科的に切除した乳腺脂肪組織 (Cleared fat pad) に移植した結果,造腫瘍能と肺転移能を有していることを確認した. これまでに,CML幹細胞の研究において,休眠状態での制御がCML幹細胞の維持に重要であると考えられている.今回,乳がんにおいても,休眠状態の乳がん幹細胞が存在し,このような細胞が乳がん幹細胞としての特性を有していることを見出した.今後,このような休眠状態のCML幹細胞と乳がん幹細胞との間での共通の制御メカニズムの解析を行う.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
乳がん自然発症モデルマウスMMTV-PyVTより乳がん組織を採取し,セルソーターを用いて,乳がん幹細胞(CD24+CD49fhigh分化マーカー陰性細胞)を純化した.この乳がん幹細胞を様々な細胞表面マーカーを用いて染色し,いくつかの細胞集団を分離した.これらの細胞を細胞増殖のマーカーとして知られているKi67の染色を行って,細胞増殖能を解析した.その結果,乳がん幹細胞のうち,細胞増殖活性の低い特性を有する細胞集団を得ることに成功した.さらに,この休眠状態の乳がん幹細胞を, レシピエントマウスの正常乳腺幹細胞を外科的に切除した乳腺脂肪組織 (Cleared fat pad) に移植し,一ヶ月後,造腫瘍能並びに肺転移能を解析した.その結果,当該乳がん幹細胞集団は,造腫瘍能と肺転移能を有することを確認した. 一方,これまでに,テトラサイクリン誘導性CMLマウスモデルを用い,最も未分化な休眠状態の長期CML幹細胞(CD150+CD48-CD135-Sca1+cKit+分化マーカー陰性細胞)を得ている.今後,このような休眠状態の乳がん幹細胞とCML幹細胞の遺伝子発現,並びに代謝産物を行い,がん幹細胞の間で共通の制御メカニズムの解析を行う.
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今後の研究の推進方策 |
上記の乳がん自然発症モデルマウスMMTV-PyVTより休眠状態の乳がん幹細胞を,テトラサイクリン誘導性CMLマウスモデルより長期CML幹細胞を純化し,これらがん幹細胞の遺伝子発現を次世代RNAシークエンスによって解析する.また,休眠状態の乳がん幹細胞,並びにCML幹細胞の代謝産物をメタボローム解析により解析する.以上の解析により休眠状態の乳がん幹細胞とCML幹細胞の間で共通のがん幹細胞特異的発現遺伝子,並びに代謝制御メカニズムを解明する
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