がん幹細胞はがんの再発や転移を引き起こす原因となる細胞として注目されているが,上皮性腫瘍におけるがん幹細胞の維持機構は明らかでない.本研究では,がん幹細胞の制御メカニズムの共通性を手掛りとして上皮性腫瘍のがん幹細胞の特性を明らかにするため,CML幹細胞と乳がん幹細胞の代謝産物の比較解析を行った.その結果,乳がん幹細胞, 並びにCML幹細胞において,不飽和脂肪酸ドコサヘキソン酸が発現上昇していることを見出した.当該研究成果によって,不飽和脂肪酸の獲得や蓄積,あるいはその代謝産物が乳がん幹細胞やCML幹細胞の共通の制御メカニズムに関与している可能性が示唆された.
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