研究課題/領域番号 |
26670412
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研究機関 | 独立行政法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
北風 政史 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究開発基盤センター, 部長 (20294069)
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研究分担者 |
朝倉 正紀 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究開発基盤センター, 室長 (80443505)
瀬口 理 独立行政法人国立循環器病研究センター, 病院, 医師 (60570869)
中野 敦 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究開発基盤センター, 室長 (90648106)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 循環器・高血圧 / トランスレーショナルリサーチ |
研究実績の概要 |
我々の臨床データの解析で、心不全患者ではFGF23の血中濃度が高いこと、FGF23高値群では心臓の線維化が多いことが明らかとなった。このことより、FGF23は心臓の線維芽細胞に作用し、心筋の線維化促進に関与すると考えられる。FGF23は、FGF受容体タイプ1(FGFR1)とKlothoによる共受容体を介して作用することが知られている。しかし、Klotho受容体は腎臓にのみ発現し、FGF23は心臓に直接作用しないと考えられている。 そこで我々は、まずklotho受容体が心臓で発現しているかどうかを検討した。マウスの全身臓器よりRNAを抽出し、PCRを行ったところ、心房・心室ともにklotho受容体の発現はみられなかった。また、Western blotでも同様に心臓でのklotho蛋白の発現はみられなかった。我々はマウス圧負荷心不全モデルを作製し、免疫染色にてklothoの発現を確認したが、心筋・線維巣ともにklothoの発現はみられなかった。以上より、心臓においてklotho蛋白は発現していないことがわかった。 FGF23が心筋線維芽細胞に直接作用するか調べるため、ラットの心筋線維芽細胞を単離しMTTアッセイを行ったところ、培養液中へのFGF23添加により心筋線維芽細胞の増殖効果を認めた。また、心室由来のヒト心臓線維芽細胞を用い、FGF23を添加したところ、コラーゲン関連遺伝子の発現増加がみられた。これらの結果より、FGF23はklothoを介さず、心筋線維芽細胞に直接作用していると考えられた。心筋線維芽細胞特異的なFGF23のシグナルを解明するため、ヒト心臓線維芽細胞にFGF23を添加したが、既知であるErkのリン酸化増強効果はみられなかった。また、FGF23の新規受容体同定のため、FGF23のクローニングを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
心筋線維芽細胞を用いてFGF23のin vitro機能解析を計画通り遂行し、またFGF23新規受容体同定のための予備実験を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
心不全の病態とFGF23の関係を明らかにするため、心筋線維芽細胞でのFGF23特異的なシグナル伝達の解明が必要であると考えられた。今後、ヒト心筋線維芽細胞を用いて、シグナル伝達の解明と病態との関連を検討していく。また、FGF23の新規受容体同定を計画通りに進め、機能解析を行なう。
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次年度使用額が生じた理由 |
FGF23の新規受容体同定の予備実験に時間を要したため、中和抗体作成などが本年度に行えず予算が未執行となった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に新規受容体の同定と中和抗体の作成を行ない、予算を執行する。
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