研究課題
平成26年度に開発したEGFR活性測定FRETバイオセンサーとフローサイトメーターを用いて、EGFR阻害薬耐性細胞を単離した。耐性細胞の遺伝子発現パターンをcDNAマイクロアレイで解析したところ、2倍以上発現亢進した遺伝子はHCC827細胞で3368、PC3細胞で3411、PC9細胞で1696であった。また、発現低下したものはHCC827細胞で4034遺伝子、PC3細胞で2960遺伝子、PC9細胞で1608遺伝子であった。単離した耐性細胞のEGFRには2次的変異がないことを塩基配列解析で確認しており、耐性化はEGFR変異以外の機序によるものと考えられた。本年度はさらに、各細胞株由来耐性細胞において共通に発現変動が認められた遺伝子を調べた。2つ以上の細胞株で発現亢進した遺伝子は2032あり、その内訳は3細胞株で2倍以上発現亢進が認められたもの8、2細胞株で2倍以上かつ他の細胞株で2倍以下の発現亢進だったもの83、2細胞株でのみ2倍以上発現亢進したもの150、1細胞株で2倍以上かつ2細胞株で2倍以下の亢進だったもの311、3細胞株で2倍以下の発現亢進が認められたもの1480であった。一方、発現低下した遺伝子は1453で、すべての細胞株で2倍以上低下したもの18、2細胞株で2倍以上かつ1細胞株で2倍以下の発現低下だったもの77、2細胞株のみで2倍以上の発現低下したもの166、1細胞株で2倍以上かつ2細胞株で2倍以下の発現低下298、3細胞株で2倍以下の発現低下が認められたもの894であった。さらにアノテーション解析を行ったところ、耐性細胞で亢進しているシグナル経路として3経路、低下しているものとして5経路が同定された。共通して亢進している遺伝子群にABCトランスポーターが含まれていることから、これらの経路や遺伝子は耐性化に一定以上の役割を担っているものと期待される。
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Oncotarget
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
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