研究課題
癌幹細胞は正常幹細胞同様に細胞周期を静止期(G0)に維持し、自己複製と前駆細胞への分化を行いながら癌組織における細胞ヒエラルキーを維持していると考えられる。また細胞内の代謝に不可欠なシステムとされるオートファジーが血液幹細胞維持関与していると報告された。しかし固形癌幹細胞静止期維持機構とオートファジーに関する報告は皆無である。また、microRNAによる正常組織幹細胞の機能制御機構も明らかになりつつあり、今回オートファジーや癌幹細胞の関連を検討した。1.CD133によるフローサイトメトリーを用いて、膵癌の癌幹細胞の同定法を確立した。膵癌を含む複数の癌種で、癌幹細胞を除去する効果があると報告されているサリノマイシンを用いた。サリノマイシンを膵癌細胞株に添加し、CD133によるフローサイトメトリーで検討したところ、CD133陽性細胞はサリノマイシンで減少した。この結果からサリノマイシンは膵癌細胞株の癌幹細胞を除去する効果が示された。またこの実験によって、膵癌細胞株の癌幹細胞の割合を評価する方法を確立した。2.オートファジー関連遺伝子の抑制により膵癌幹細胞マーカーと考えられているCD133が減少する事を確認した。3.膵癌細胞株とその高肝転移株を用いたマイクロアレイによって、高転移株でmicroRNA-5100の発現が低いことに注目し、膵癌細胞株にmicroRNA-5100を過剰発現させると、膵癌細胞の浸潤能と遊走能が低下することを見出した。またmicroRNA-5100の配列を基にポドカリクシンという膜蛋白質に注目し、膵癌細胞における発現と予後の関連を発見した。これらのmicroRNA-5100と膵癌の悪性度の関係を原著論文で報告した。またgemcitabine耐性細胞株およびフルオロウラシル耐性細胞株の作成を行い、耐性株であることを確認した。
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