本研究では、カルシウム感知受容体(CaSR)を介したシグナルが硬組織形成を促す作用があることに着目し、CaSR作動薬を歯髄が露出した部位へ応用し、生体組織との接触部位に壊死層を作らず硬組織形成を促す直接覆髄材を開発することを目的とした。まずヒト歯髄細胞から、多分化能を有し間葉系幹細胞マーカーを発現するヒト歯髄幹細胞株を得た。次にこの細胞をCaSR作動薬であるカルシウムで刺激した結果、象牙芽細胞分化が亢進することを明らかにした。そこでハイドロキシアパタイトを含有したアクリル系レジンを作製し、直接覆髄材としてラットの露髄モデルに応用した結果、露髄面に硬組織形成を促す働きがあることを明らかにした。
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