真菌の増殖抑制活性を有する食品、特に北東北地域に特有の素材を検討した結果、雑穀や水産物(ホヤ等)の脂溶性成分に、強い菌糸形成阻害活性が認められた。これらの有効成分が抗真菌剤の作用にどのような影響を与えるか検討を行い、相乗効果を有する場合にはその作用機序解明を目的として研究を実施した。その結果、多価不飽和脂肪酸、とくにステアリドン酸が真菌の増殖抑制活性を有し、アムホテリシンBと相乗的に作用することが判明した。出芽酵母をモデルとしてケミカルゲノミクス解析を行った結果、ステアリドン酸が細胞内輸送経路を阻害することが推測され、膜タンパク質の機能等に影響を与えることで真菌抑制作用を示すことが示唆された。
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