研究課題/領域番号 |
26671021
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
湯浅 美千代 順天堂大学, 公私立大学の部局等, 教授 (70237494)
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研究分担者 |
諏訪 さゆり 千葉大学, 看護学研究科, 教授 (30262182)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 認知症高齢者 / 認知症看護 / 実務経験者 / 教育方法 / 学習方法 |
研究実績の概要 |
実務経験者を対象とした認知症高齢者看護の学習方法ならびに教育方法を理論化することを目的とし、3つの研究を柱として探求し、平成27年度は3年計画のうち2年目となる。 研究1では、実務経験者を対象とした認知症高齢者看護教育の経験をもつ者を対象としたインタビューを1名追加し、計7名の逐語録を整理した。研究2では、実務経験をもって認知症高齢者看護を専門的に学んだ学習者1名を対象としたインタビューを追加し、計5名について逐語録を整理した。研究2のインタビュー対象者の研究協力依頼にあたり、強制力が働かないよう配慮したため、対象者数を確保できず、また得られたデータをみたところ語られる内容に限界があり、研究1の教育経験者から問題としてあげられたこととのギャップがあった。そこで、認知症看護認定看護師567名を対象とした質問紙調査を加えた。結果、306名からの調査票返送があった(回収率54.0%)。結果を概観したところ、学習過程において実習での困難感は全体的に強かった。特に、実習でのアセスメントに困難があったと答えている者が多かった。また、実習場での直接的な支援を求めている者が多かった。よって、看護の実務経験をもち、専門分野の学習を積んだ者であっても、実習については教育的支援が必要であると考えられた。研究3では、実務経験者の教育・学習に適用できる教育理論、学習理論の探索を行い、研究者会議を開催し、成人学習理論の活用について検討した。また、知識を得た後、学習者自身がそれを実践で活用するという視点での思考過程が導入できないか検討し、“まなびほぐし(unlearn)”の概念を調べることになった。今後、さらに文献検討を加え、研究1、2との統合を図り、理論として提示する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究2について、インタビュー調査の対象者数が倫理的配慮によって予定よりも少なくなってしまった。また、得られたデータも肯定的な内容が多く、研究1から予測された否定的な内容の話題が限られており現状が把握できなかった。そこで質問紙調査を加えた。その結果、質問紙作成から倫理審査、調査実施、分析のため予定以上に時間がかかり、分析と理論素案の作成が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は最終年度であるため、研究1、2、3それぞれの結果を分析し、まとめるとともに、それらの統合を図って、構造化した認知症高齢者看護および教育・学習の方向性を示す。6~9月に認知症高齢者看護の実践者、教育実践者と検討する専門家会議をもち、構造化した認知症高齢者看護および教育・学習の方向性について、アイデアを得て、修正する。認知症高齢者看護および教育・学習の方向性は、具体的な要素を含めて理論構成する。また、11~12月に、構造化した認知症高齢者看護および教育・学習の理論構成について、実際に活用可能な内容にしていくために、内容の網羅、活用可能性と運用手法について、認知症高齢者看護の実践者、教育実践者を含めて検討する。これらは担当者を決めて推進していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画では、研究1、2で多くの対象者へのインタビューを行うための旅費を計上していたが、研究への自由参加を求めるため、対象者の応募が予定よりも少なかった。また都内を中心にその近県の対象者へインタビューしたことと、インタビュー対象者の都合にあわせるために急遽インタビュー日が決まることによって本研究費から交通費の拠出が難しいことにより、旅費の使用が少なくなった。これが予算との差額が生じている大きな理由である。一方、研究3に関して、教育教材を収集し研究者全員で検討するため、物品費が多くなっている。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度は3年目のまとめの時期であり、研究結果として提示する教育・学習の方向性や構築した理論の妥当性を確認するため、実務経験者や専門家へのヒヤリングを行う予定である。初年度から繰り越している予算はこのヒヤリングに必要な旅費に使用する。また、研究結果については、冊子体にして関係者に送る、またはPDF化してインターネット上に公開する予定であり、このための経費として使用する予定である。
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