研究課題/領域番号 |
26671021
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
湯浅 美千代 順天堂大学, 医療看護学部, 教授 (70237494)
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研究分担者 |
諏訪 さゆり 千葉大学, 大学院看護学研究科, 教授 (30262182)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 認知症高齢者 / 認知症看護 / 成人教育 |
研究実績の概要 |
実務経験者を対象とした認知症高齢者看護の学習方法ならびに教育方法を理論化することを目的とし、3つの研究を柱として探求してきた。 研究2では、質問紙調査の結果、学習者の立場から「アセスメント」に困難を感じるという者が多かったこと等を明らかにし、学術集会で発表した。認知症高齢者看護を学ぶ上で「アセスメント」が難しいことは、平成28年度から多く実施されている看護職員を対象とした認知症対応力向上のためのいくつかの研修においてもみられたことが研究会議で述べられた。 研究1では、教育担当者へのインタビューデータを分析した結果、以下を明らかにした。すなわち、看護の実務経験者は、職場での経験ゆえに認知症看護で重要となる【看護の基本に関わる能力の不足】【“看護過程”でのつまずき】が生じやすい。また、クリティカルシンキングなど思考力を含む【記録を書くための能力不足】が学習を阻害する。これらを乗り越えるためには、実務経験を重ねる中で培ってきた効率的な思考方法や行動原則からの脱却、すなわち【自己の変容】という課題が求められる。これらのことは、看護の実務経験者が認知症をもつ高齢患者の「アセスメント」を難しいと感じる原因と考えられた。 研究3では、実務経験者の教育・学習に適用できる教育理論、学習理論の探索を行い、研究者会議を開催し、活用できる学習理論を検討した。(1)M.S ノールズによる「自己主導型学習ガイド」は新しい方法論ではないが、アクティブラーニングでの学習にあたって教師・学習者双方が確認すべき事柄がまとめてあるため、活用できると考えられた。(2)クリスティーン・タナーによる「臨床判断モデル」はエキスパート特有の判断プロセスを示しているため活用の可能性があると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究1のインタビューデータを分析した結果の一部について、平成29年4月に開催される第32回国際アルツハイマー病協会国際会議での発表に採択されたことにより研究期間を延長し、分析結果の発表後に報告書を作成、配付することにしたためである。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度はインタビューデータの分析結果を発表した後、3つの研究をまとめ、実務経験者が認知症高齢者看護を学ぶ際、困難とする「アセスメント」に焦点をあてた学習方法、教育方法について、理論的な枠組みと方法論を提示するための研究会議を行う。その後に研究全体の成果をまとめる報告書を作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究1のインタビューデータを分析した結果の一部について、平成29年4月に開催される第32回国際アルツハイマー病協会国際会議での発表に採択されたため、科研費により経費を支出することにした。また発表後に報告書を作成、配付することにしたため平成28年度に使用予定の予算を平成29年度に支出することにしたためである。
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次年度使用額の使用計画 |
学会発表のための旅費、報告書作成にあたり、研究成果として報告書に執筆する内容の妥当性の検討ならびに報告書執筆分担決定のための研究会議にかかる経費、および報告書作成のための経費とする。
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