本研究では、太陽系に存在する氷天体の内部海の環境(酸化還元状態、pH、温度)やその形成条件、そこでの生命生存可能性を、探査機による観測データを室内実験に基づいて解釈することで明らかにすることを目的とする。 土星衛星エンセラダスでは、内部海の海底に、始原的な岩石成分で水素など、生命利用可能エネルギーが豊富に存在する熱水環境が存在することを示した。また、準惑星セレスや冥王星の表面物質から、太陽系初期に広範囲に渡って、天体がダイナミックに移動・衝突合体するステージが存在したことを実証的に明らかにした。このように、氷天体内部海の化学的多様性や生命存在可能性の理解に迫る研究を世界に先駆けて展開した。
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