研究課題/領域番号 |
26709056
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
今宿 晋 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (40606620)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | カソードルミネッセンス / 介在物 / 鉄鋼材料 |
研究実績の概要 |
本年度は、金属材料(特に鉄鋼材料)中の介在物を走査型電子顕微鏡を用いたカソードルミネッセンス法(SEM-CL法)によって検出する方法の確立を目指した。 本研究では、アルミナおよびスピネル(MgO・Al2O3)の介在物を含む鉄鋼材料の測定を行った。走査型電子顕微鏡の電子線の照射によって介在物が発光する様子を焦点距離が100 mmのクローズアップレンズを装着したデジタルカメラを用いて撮影したところ、アルミナおよびスピネルがともに緑色に発光する様子を撮影することができた。アルミナは、粒径20マイクロメートル、スピネルについては、粒径3マイクロメートルの粒子の発光を捕らえることができた。 従来、介在物の分析には、顕微鏡や電子線マイクロアナライザ (EPMA) が用いられており、測定に数十分から1時間程度の時間を要する。一方、本研究で行ったSEM-CL法では数十秒で介在物の位置および種類を特定することができるので、本手法は鉄鋼材料中の介在物の分析手法として利用できる可能性があると考えている。しかしながら、アルミナ粒子とスピネル粒子がともに緑色に発光しているために、介在物の同定が現状ではできないので、これらを識別する方法を考える必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度の目標である、走査型電子顕微鏡を用いたカソードルミネッセンス法(SEM-CL法)による金属材料(特に鉄鋼材料)中の介在物(アルミナ、シリカ、スピネル粒子)を識別する手法を確立することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、平成27年度に確立した鉄鋼材料中の介在物に関する基礎的なデータを取得する。具体的には、マンガンシリケート(MnSiO3)系の粒子を作製して、CLスペクトルを取得する。これらのデータを基にして、鉄鋼材料中の介在物の元素マッピングにおける識別精度を向上させる。また、異なる種類の介在物でも発光色が同じ場合に、これらの介在物を識別する方法についても考える。具体的には、カメラのレンズに波長を選択できるフィルターをつけて、識別を行う。 また、これまでの成果を基にして、大気中でCL測定を行うことができる装置の製作を行う。具体的には、ネオジム磁石とサマリウムコバルト磁石を識別できる希土類磁石識別装置と、金属材料中の介在物の位置と種類を特定できる介在物マッピング装置の開発を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入したスパッタ装置を当初の予定より安く購入することができた。また、購入を予定していた質量分析装置を取り付けるための真空装置の完成が遅れてしまったため、質量分析装置の購入を来年度に延ばすことにした。
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次年度使用額の使用計画 |
大型装置としては、質量分析装置を購入する。
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