本研究の目的は、植物多様性の主要軸と見なされる葉の光合成能力の多様性と、植物の高さの多様性に着目し、それぞれのトレードオフとその物理的・生化学的基盤の解明した。光合成能力の多様性については、数百種のデータを解析した結果、長い寿命をもつ葉は、細胞壁の重量割合が高く、そのため、(1)光合成タンパク質の割合が少ない、(2)細胞壁が厚いためにCO2拡散抵抗が大きい、という2つの要因により、光合成効率が低いことが明らかになった。植物の高さの多様性については、気候帯によらず、共存樹種間では、樹高とともに光獲得効率が増加し、光利用効率が低下するという一貫した傾向を見出した。
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