研究課題
本研究は末梢静脈穿刺時に活用可能な温罨法用具の開発を目的としている.4年計画で行う本研究の初年度(平成26年度)は,次年度に想定している試作品の開発にも役立てるため,静脈穿刺を実施する医療職(看護職,医師等)を対象に実態調査を予定していた.そこで,研究計画に従い全国規模での調査研究を実施した.その結果,看護職を中心に全国1000名以上から回答が得られ,臨床で行われている末梢脈穿刺時の実施者や具体的な援助方法(温罨法を行う場合は加温したおしぼりを代用している,加温時間は5分間程度が最も多い)など静脈穿刺時の実態を把握することができた.また,今後試作品を開発するにあたり,看護職らの要望を反映させるため意見も聴取した.その結果,簡便性や即時性,安全性などのニーズが高いことも明らかになった.これらの調査結果以外にも実際の臨床看護師と意見交換も行いながら,今後は試作品の作成に着手していく予定である.そして,試作品を開発するために必要な材料や加温器具などについても関連学会,展示会への参加,市販品なども調査しながら構想を発展させている状況である.また,これまで共同研究を実施してきた岡山県立大学の専門家らとも協力,助言や意見交換を頻回に行いながら研究を進めている状況である.
2: おおむね順調に進展している
平成26年度に計画していた全国での実態調査を予定通り実施することができた.実態調査では,全国の看護職1000名以上の意見を聴取した.その結果,末梢静脈穿刺の実施状況や穿刺困難者に対して行われている援助方法などについても分析している状況である.さらに,試作品を作成するためのニーズも聴取しているため,臨床看護師らのニーズに沿った援助用具の開発につなげる予定である.また,試作品を作成するに必要な機器や知見を得るために研究会にも参加することで,有益な知見も得ることができた.
平成27年度以降は,試作品の開発に着手していく予定である.その中で,局所加温が全身に及ぼす影響をサーモグラフィーなども活用して,客観的に評価していく予定である.このような画像を併用した評価は,研究結果を容易かつ視覚的にも理解がすることが可能となるため,研究成果の普及にもつながると推測している.なお,平成26年度に実施した全国規模での静脈穿刺時の実態調査は論文投稿を行う予定である.この実態調査は,本邦の実情を反映しているため,基礎的な資料となり得ると考えている.
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件)
Acta Med Okayama
巻: 69(2) ページ: 79-85
日本看護技術学会誌
巻: 12(3) ページ: 14-23
International Journal of Nursing Practice
巻: Epub ahead of print ページ: -
10.1111/ijn.12313.